研究課題/領域番号 |
19K20708
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
牧田 智 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20718415)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光温熱治療 / DDS型光吸収超分子 / 肺転移 / EPR効果 / ICGラクトソーム |
研究実績の概要 |
小児固形がんは、原発浸潤巣・転移巣の適切な治療により予後を著明に改善できることが知られている。研究代表者等は、診断と治療の一期的施行(セラノスティクス)を可能とした新しいDDS(ドラッグデリバリーシステム)型薬剤であるICGラクトソームが浸潤性がんモデル動物の病巣に選択的に集積することを証明し、ICGラクトソームの近赤外光吸収を利用した温熱作用によってがん病巣を縮退させることに成功した。本研究ではICGラクトソームを用いた光温熱治療によるがん転移巣の治療技術を確立し、がん病巣の根治を目指す。2019年度は、肺転移モデルでICGラクトソームの投与条件(投与濃度、量)、光照射条件(照射強度、照射時間)、さらに腫瘍温度などのデータを取得して、治療効果最大化のための条件を絞り込んできた。そしてこれまでの検討では、1.低い光エネルギーで治療で腫瘍を消退きること、2.隣接正常組織への傷害性が低いこと、3.光深達長よりも深いところまで細胞死を誘導できること、が確認できた。また肝芽腫肺転移モデル動物ならびにウイルムス腫瘍肺転移モデル動物の作製を検討してきたが、現状ではそれら(肝芽腫、ウイルムス腫瘍)の肺転移モデルの確立には至っていない。 初年度はこの骨肉腫肺転移モデルを用いて、ICGラクトソームによる蛍光イメージングならびに近赤外光温熱による腫瘍縮退の誘導を確認するための、モデル動物の挿管管理、飼育実験の体制を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺転移モデルでICGラクトソームの投与条件(投与濃度、量)、光照射条件(照射強度、照射時間)、さらに腫瘍温度などのデータを取得して、治療効果最大化のための条件を絞り込んできた。 特に、初年度はこの骨肉腫肺転移モデルを用いて、ICGラクトソームによる蛍光イメージングならびに近赤外光温熱による腫瘍縮退の誘導を確認するための、モデル動物の挿管管理、飼育実験の体制を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も同様の研究を継続し、がん種ごとのICGラクトソームの投与条件(投与濃度、量)、光照射条件(照射強度、照射時間)、さらに腫瘍温度などのデータを取得して、治療効果最大化のための条件の決定を目指す。 更に骨肉腫肺転移モデルでICGラクトソームによる蛍光イメージングならびに近赤外光温熱による腫瘍縮退の誘導を確認すると同時に、肝芽腫肺転移モデル動物ならびにウイルムス腫瘍肺転移モデル動物の確立を目指す。 最終的には鏡視下光温熱療法の最適化に向け実臨床に準じた光温熱治療を想定して、肺隔転移のモデル動物(ラット)にICGラクトソームを用いた光温熱治療を繰り返し行うことで腫瘍の根治を目指す。
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