研究実績の概要 |
フレキシブル薄膜センサーシートを用いた多電極パッチ型心電計への臨床応用を目的として研究を進めていく中で、令和元年では健常人心電図測定とその解析を行い、フレキシブル薄膜センサーシートによる測定結果が既存の心電計による測定結果と非常に良い相関を示していることが実証できた。これを、パッチ型心電計へと応用し、実際の臨床現場にて多数の異常心電図を有する症例に対して装着し測定および解析を行うことを令和2年度の目標とした。まず、令和2年度上半期に、ビューワーがPC専用のプログラムであったため、タブレット端末にて波形表示が可能となるアプリ(HaruMeasure,PGV株式会社)の開発および改良を行った。これにより、①フレキシブル薄膜センサーシート、②無線送信機、③データ受信タブレット、④クラウドサーバーにて構成されるパッケージへと、試作機全体をアップグレードすることができた。そして令和2年度下半期に、大阪大学大学院神経内科学の関連病院である加納総合病院にて、心房細動を有する3例の脳梗塞患者(本人同意確認)に試作機の装着を行い、10時間程度の心電図測定を行った。長時間測定における記録性能およびデータ送受の安定性は良好であり、大規模集団を対象とした臨床試験への忍容性を期待させる結果であった。測定した心電図をサンプルデータとして異常心電図を解析する専用アルゴリズムの開発と、試作機パッケージの各構成要素の改良を行い、日常での臨床使用が可能な医療デバイスを目指して更なる研究を推進していく。
|