研究実績の概要 |
2019年度に、造影MR画像におけるPartial Least Squares (PLS) 部分最小二乗法を用いた統計形状モデリングによる肝線維化に伴う形態変形の理解及び肝線維化のステージ分類のアプローチを適応させ、ステージF0-4を含めた51症例の造影MR画像の評価に用いた。抽出した形態変形の特徴量をSupport Vector Machine(SVM)に入力し、肝線維化のステージ推定を行い、F0/1 vs. F2-4 (早期), F0-2 vs. F3-4, F0-3 vs. F4 (肝硬変)の検出精度(AUC) 0.90±0.03, 0.80±0.05, 0.82±0.05を得た。提案手法による得られたモデルは、一般的に観察される左葉の全体的な肥大と右葉の収縮のみならず、局所的な変形、例えば右葉後部と尾状葉の肥大も表現されていることを確認した。この研究はInternational Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery (IJCARS; Impact Factor: 2.155)に出版された。 さらに、検出精度を向上するために、肝腺維化のステージの推定で用いた特徴量を拡張し、肝臓組織の不均一性を表現した54テクスチャ特徴量を計算した。バリエーションの高いPLS特徴量とステージとの相関係数が高いテクスチャ特徴量を融合し、肝線維化ステージ推定を行った。結果として、F0/1 vs. F2-4 (早期), F0-2 vs. F3-4, F0-3 vs. F4 (肝硬変)の検出精度は0.93±0.03, 0.77±0.05 、0.84±0.05を得て、早期検出精度向上の可能性を示した。この結果は第38回日本医用画像工学会で発表され、大会奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題にて目的とした肝線維化ステージの自動診断精度向上および線維化進行度予測モデルの構築に対して、学習用データの収集と学習アルゴリズムの実装及び検証を進展している。2019年度に、PLSアルゴリズムを用いて、肝線維化進行度予測モデルを構築した (Soufi et al. IJCARS, 2019)。また、大阪大学と共同で、多モダリティ画像(MR画像及び磁気共鳴エラストグラフィー(MRE)画像)を含めたデータを収集し、データベース化作業を行った。次に、肝臓及び脾臓の全自動セグメンテーションを達成するために、畳み込みニューラルネットワークに基づいた3D U-Netを用いて、多臓器(肝臓及び脾臓)の領域を抽出し、故障箇所を手動で修正し、セグメンテーションの正解データを作成した。現在、その正解データを用いて、我々の研究室で最近開発された自動セグメンテーションのネットワークBayesian U-Net (Hiasa et al. IEEE TMI, 2019)を使用して学習させ、検証実験を行っている。
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