研究課題/領域番号 |
19K20713
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
チョ ビョンヒョン 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 特任助教 (20734528)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 拡張現実 / ナビゲーション / ロボット手術 |
研究実績の概要 |
本研究では、小径腎癌に対してロボット支援腎部分切除術(RAPN)における内視鏡画像上では脂肪や腎実質に埋もれた腎動脈や腫瘍を3D画像で可視化するため、拡張現実を使用したda Vinci surgical system (dVSS)Xiの手術ナビゲーションシステムを開発している。本研究における助成採択後、内視鏡パラメータ(内部・外部パラーメータ)をdVSS Xiを使って採取した。dVSS Xiに光学式マーカーを装着するために、内視鏡をハンド 3Dスキャナーを使用し寸法測定し、内視鏡ホルダーの3D 画像を作成した。この画像データを元に3Dプリンターで試作機を作成して最適な内視鏡ホルダーを設計し、滅菌可能なアルミ製ホルダーを作成した。ナビゲーションシステムを運用するためのワークステーション(Dell Inspiron G5 5090 Desktops, 言語; Python)を準備し、術前CT画像から作成した腎癌3D画像を内視鏡に頂上させるナビゲーションソフトを開発した。本システムは内視鏡画像と3D画像の任意の特徴点5箇所を選択して位置合わせすることで、Fiducial registration erro 0.5-1.5mm程度の精度での拡張現実を可能とした。当院の倫理委員会での観察研究を申請後に、アルミ製ホルダーをdVSS Xi 0°内視鏡と30°斜視内視鏡に各々装着し光学式追跡システムで内視鏡の動き(位置情報)を計測した。その情報をベースに3D画像を自動で動かし、かつ内視鏡画像にその3D画像を重畳させたナビゲーションシステムをdVSS Xiに画像共有ソフトTile Proを経由してdVSSコンソール内に画像提示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、研究計画書に記載した開発スケジュールで行われ、本研究開発成果については、第71回日本泌尿器科学会西日本総会(2019年11月7日)と第32回日本内視鏡外科学会総会で報告した。上記の如く、本研究における進捗状況としては概ね順調と判断した。しかし、留意すべきは新型コロナ感染症の流行に伴い光学式マーカを装着するマーカーホルダーの修正が事業者の休業要請で自粛していること、学会報告が開催中止や延期のためできなくなっている状況でもある。当初の研究計画に沿って状況を見極めながら研究を実施していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、本研究採択以前から使用してきた光学式追跡システム(Polaris Spectra; NDI, Waterloo, Canada)が、本システムの部品消耗に伴い計測精度の低下が2020年4月1日時点で著しい状況であった。部品消耗以外には、本システム自体のパラーメータを再度調整するためにキャリブレーションが必要な状況も香料された。それ故に、現状の光学式追跡システムの継続使用については内視鏡の位置計測が不正確であり今後の究成果に悪影響を及ぼす可能性がある。よって本システムのキャリブレーションと消耗品の交換を含めた現時点の製品評価を行うため、本システムの販売代理店(アドバンスシステムズ株式会社)に修繕依頼(2ヶ月程度必要)を行なっている。このシステム修繕後に、再度研究再開予定とし臨床データの蓄積を行う。現在、ロボット支援腎部分切除術に拡張現実を使用した手術ナビゲーションを3例実施している。修繕期間中に本システムを導入した臨床症例について、病理学的所見、術前後画像評価(造影CT画像、腎シンチグラフィ)と血液検査所見(クレアチニン、推定糸球体濾過量)について解析を行うとともに、今後再開して得られる臨床結果を含めてその成果を今後論文で報告する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
従来研究成果報告について国内外の学会での発表を検討しておりました。また、ソフトウエア開発において光学式マーカーを内視鏡に装着するためのホルダーのデザイン変更のため3Dプリンターでの試作品作成とアルミ製品の作成を予定しておりました。しかし、昨今の新型コロナウイルス感染の世界的大流行により発表予定の学会の中止や取引先の経済活動の自粛が相次ぎ生じた結果、研究計画当初に予定しておりました予算執行が延期されております。今後は経済活動再開後、学会が改めて開催される目処が立ち次第、上記の計画につきまして予算執行を計画しております。 上記の旨、本年度560,488円のを次年度への繰越し金としての計上させていただき、次年度内に当初の研究計画を実施できるように尽力してまいります。ご配慮の程をお願い申し上げます。
|