研究実績の概要 |
本研究の目的は,Radiomics特徴量を用いた線形判別分析により,乳房MRI画像における腫瘤病変のサブタイプ分類法を提案することである.実験試料は,公開データベースより得られた,71症例の乳房MRI画像を用いた.本研究で使用した画像のサイズは256×256画素,ピクセルサイズは0.32×0.32mm2,また濃度分解能は16ビット(65536階調)である.提案手法ではまず,腫瘤病変の面積が最大となるスライスを一枚選択し,それに対して腫瘤病変の位置と形状を手動でマーキングした.次に,マーキングした腫瘤病変より,20個のRadiomics特徴量(濃度ヒストグラム,同時生起行列,ランレングス行列に基づく特徴量)を抽出した.濃度ヒストグラムの特徴量としては,平均,分散,歪度,尖度を求める.次の同時生起行列に基づく特徴量としては,contrast, correlation, variance, sum average, entropy, energy, homogeneity, dissimilarity, auto correlationを抽出した.最後のランレングス行列に関する特徴量では,short run emphasis,long run emphasis,gray level nonuniformity, run length nonuniformity, run percentage, low gray level run emphasis, high gray-level run emphasisを抽出した.ここで,特徴量ごとに正規化を行っている.そして,抽出したRadiomics特徴量に対してStep Backward法を適用し,分類に有用な特徴量を決定した.最後に,Step Backward法により決定されたRadiomics特徴量を用いた線形判別分析により,腫瘤病変のサブタイプ分類を行った.提案手法を71症例の乳房MRI画像に適用した結果,AUCの値が0.73であった.今後,Radiomics特徴量に加えてCNN(Convolutional Neural Network)特徴量も追加することにより,更なる分類精度の向上が期待できる.また,本研究では分類器として線形判別分析を使用したが,その他の分類器,サポートベクターマシン,Random Forest,などに関しても,今後検討する.
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