研究課題/領域番号 |
19K20719
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
檜作 彰良 立命館大学, 理工学部, 助教 (20822844)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | トリプルネガティブ乳がん / レディオミクス / 複数シーケンス画像 / LASSO / Support vector machine |
研究実績の概要 |
前年度までは,T1強調画像上の病変より得られた特徴量を用いた識別器により,トリプルネガティブ乳がん(TNBC:Triple-Negative Breast Cancer)の分類を行なった.しかし,臨床現場では,医師はT1強調画像だけでなく,MRIの他のシーケンス画像も考慮しながら,病変の診断を実施している.そこで,複数シーケンスで撮影された乳房MRI画像上の病変より得られたRadiomics特徴量を用いたSVM(Support Vector Machine)により,トリプルネガティブ乳がん(TNBC:Triple-Negative Breast Cancer)の分類精度の向上を行なった.実験試料は,The Cancer Imaging ArchiveのISPY1データセットに含まれる66症例のT1強調画像,T2強調画像,Dynamic Contrast Enhanced MRI画像を用いた.画像のサイズは256×256画素,ピクセルサイズは0.32×0.32 mm2である.提案手法では,まず各画像より腫瘍の形状,大きさ,テクスチャ(First order statistics,GLCM,GLRLM,GLSZM,GLDM,NGTDM)に関する510個のRadiomics特徴量を抽出した.次に,それらの特徴量から,LASSO(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)により,TNBCの予測に有用な特徴量を選択した.最後に,選択された特徴量を用いたSVMにより,TNBCを推定した.LASSOによる特徴量選択の結果,7個のRadiomics特徴量が決定された.7個の特徴量を用いたSVMにより,TNBCを推定した結果,正答率84.8%(56/66),感度81.3%(13/16),特異度86.0%(43/50)が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,データベースに,T1強調画像に加え,T2強調画像,Dynamic Contrast Enhanced MRI画像を追加した.提案手法では,これらの複数シーケンス画像上の病変より得られた特徴量を用いたSVMにより,トリプルネガティブ乳がんの分類を行なった.提案手法を評価用のデータセットに適用した結果,正答率84.8%(56/66),感度81.3%(13/16),特異度86.0%(43/50)が得られた.今後,CNN特徴量などを追加し,更なる分類精度の向上を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
MRIの他のシーケンス画像も考慮することにより,提案手法の分類精度が大幅に向上した. 今後,更なる分類精度の向上のために,形状,大きさ,テクスチャに加え,CNN(Convolutional Neural Network)特徴量を追加する.CNNによる画像特徴では,”ImageNet”と呼ばれる大規模な自然画像で事前学習したCNN のネットワークモデルである,”VGG19”,”GoogleNet”,”ResNet18”などを特徴量抽出器として使用し,MRI画像より画像特徴を抽出する.これらの事前に学習したネットワークより抽出した特徴量は,画像の分類に有用であることが報告されている.今後,これらの特徴量を組み合わせ,更なる精度向上を行う.また,必要に応じて,MRI画像より病変の自動抽出法も検討する.2020年度は特徴量抽出法の検討を優先して行なったため,病変の自動抽出は行わなかった.ここでは,畳み込みニューラルネットワークの一つであるU-Netをベースに,病変を自動抽出する最適なネットワーク構造を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で参加予定の学会や,物品の購入を見送ったため.本年度に,予定通り使用する.
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