研究課題/領域番号 |
19K20726
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
森田 伸友 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (90807554)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光計測 / 血栓検出 / 機械学習 / システム開発 |
研究実績の概要 |
血栓モニタリング用超小型光センサ(以下,血栓センサ)の高感度化を目指し,モンテカルロ法による光シミュレーションとセンサ試作,性能評価を行った. 光学シミュレーションでは,本研究申請以前に試作した血栓センサをモデリングし,血栓センサから射出した光が血液,血栓,周辺部材を伝搬して血栓センサ受光部に到達するまでの光路解析を行った.これにより,センサ内部や血液チューブからの迷光によって血栓検出感度の低下が生じていることが明らかとなった. 本シミュレーション結果に基づいて血栓センサの再設計・試作を行った.この血栓センサには,迷光を遮光し血栓監視エリアの血液からの光を選択的に受光するための空間フィルタを搭載している.この空間フィルタの製造方法を検討し,Siウェハをプラズマエッチングによって微細加工することで所望の形状を実現した.血液のファントム材料を用いて血栓センサの感度評価を行い,これらの進展によって初期に試作した血栓センサから10倍の感度向上がなされていることが確認された.今後は動物血によるin-vitro試験によって,血栓検出感度の評価と機械学習を適用するための学習用データの取得を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り,光シミュレーションによって血栓検出感度向上のための幾何条件を明らかにし,その条件に基づいて新たな血栓センサを試作し,血液ファントム材料による血栓センサの検出感度評価によって,検出感度の向上が達成されていることが確認された.この後は動物血を用いたin-vitro試験によって実際の血栓検出感度の評価と,機械学習を適用するための学習用データの取得を進める予定であった.しかしながら,この実験は外部機関に出向いての試料(動物血)の入手や血液分析装置等の実験機器の利用が必要であり,コロナウイルスの影響によってこれらの実施は一次的に中断せざるを得ない状況となった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は動物血によるin-vitro試験によって,血栓検出感度の評価と機械学習を適用するための学習用データの取得を進める.ただしこれらの実験は現在,コロナウイルスの影響により直近の実施が困難な状況にあるため,まずは現在取得済みの少量のデータで機械学習による血栓検出の早期診断の可能性を探る.実験についてはコロナウイルスの収束が進み,外部機関の試料提供等を受けられるようになった時点で再開する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,学会発表が誌上発表のみとなった.また機械学習用データ取得のための実験についても複数の拠点に出向いての装置利用が伴うため,同様に中断せざるを得ない状況となった.これらの変更により,実験消耗品,出張旅費及び滞在費が次年度へ繰り越しをせざるを得ない状況となった.
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