研究課題
【背景】気管支肺胞洗浄(BAL)は間質性肺炎をはじめとしたびまん性肺疾患の診断およびその他の疾患の除外に有用である。一方でBALは間質性肺炎における急性増悪発症の危険因子のひとつとして知られているが、なぜBALが危険因子となるのかの研究はされていない。【目的】BALによる急性増悪発症の危険因子の探索および洗浄液の回収率をよくするための新しい手法の確立【方法および結果】①当院における過去のデータからBAL後の急性増悪発症危険因子を探索した。→ PaO2 75mmHg未満、BAL中好中球分画7%以上、%DLCO 50%未満、GAP stage III、BAL回収率30%未満が急性増悪発症の危険因子であることが示された。②当院における過去のデータからBALの回収率に影響を与える因子を探索した。→ 男性、65歳以上、左気管支、中葉・舌区以外、FEV1/FVC 80%未満が回収率不良の危険因子であることが示された。③バルーンカテーテルを用いてBALを行うことで回収率をよくすることができるか前向き試験を行った。<主要評価項目>すべての重篤な有害事象発生 <副次評価項目>A)洗浄失敗の有無(回収率30%未満) B)検査後1か月以内に発生するすべての検査合併症の発症 C)検査時間(ファイバー挿入から気管支肺胞洗浄終了までの時間) D)気管支肺胞洗浄液の回収率(回収量/注入量×100%)→ 登録予定12例で試験を開始した。9例終了時点で責任医師判断で試験終了とした。<主要評価項目>重篤な有害事象の発生なし <副次評価項目>A)4例(44.4%) B)血圧上昇1例 C)495-1323秒 中央値750秒 D)1-58% 中央値32% 主要評価項目である重篤な有害事象の発生はみられなかったが、洗浄失敗患者が9例中4例おり試験継続は患者への不利益が高いため途中終了とした。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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