研究課題/領域番号 |
19K20731
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
野口 義紘 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (80724608)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | signal detection / drug-drug interaction |
研究実績の概要 |
本研究は、計算科学に基づくデータマイニングを活用したエビデンスの高い有害事象シグナルの創出を目的としている。当該年度は、まず、既存のシグナル検出手法についてより理解を深めるために、検出アルゴリズムについて網羅的な文献調査を実施した。 文献調査から、検出アルゴリズムのうち、医薬品相互作用に関連する検出アルゴリズムについて着目して総説をオープンアクセスで公開した。 さらに、主要な医薬品相互作用のシグナルを検出するためのアルゴリズムのうち、頻度論的統計学に基づくアルゴリズムである(1)Ω Shrinkage Measure model、(2)Additive model、 (3)Multiplicative Model、(4)Combination Risk Ratio Model、(5)Chi-Square Statistics Modelについての検出傾向の違いを日本の有害事象自発報告データーベースであるJADERを使用して調査した。(ただし、この調査では、有害事象を「スティーブンスジョンソン症候群(SJS)」のみを対象としている。) これら5つの検出アルゴリズムにおいては、Ω Shrinkage Measure modelが最も保守的なシグナル検出傾向を示すことを明らかにした。(SJSが報告された3924組の医薬品の組み合わせのうち、(1)Ω Shrinkage Measure model、(2)Additive model、 (3)Multiplicative Model、(4)Combination Risk Ratio Model、(5)Chi-Square Statistics Modelによって検出されたシグナル数は、それぞれ712、3298、2252、739、および1289組であった。) また、医薬品単剤と有害事象の関連性についていくつか報告している。それらのうち、同じペプチド(サブスタンスP)に作用する医薬品群(Dipeptidyl peptidase-4阻害薬およびAngiotensin-converting-enzyme阻害薬)における有害事象としての「誤嚥性肺炎」の発現傾向の違いについても明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトは4年計画であり、初年度は、主に様々なシグナル検出手法について網羅的な文献調査を行った。調査により明らかとなったシグナル検出手法のうち、医薬品相互作用についての手法については、総説としてまとめた。また、検出手法ごとの検出傾向についても明らかにした。 さらに、医薬品単剤使用においてもサブスタンスPに作用するDPP-4阻害薬とACE阻害薬のシグナル検出傾向の違いも明らかにしている。 以上から、本研究計画は、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書の予定通り、シグナル検出のための計算化学に基づくデータマイニングの手法の構築を引き続き実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に物品費が予定額を下回った。次年度に必要物品を購入する。
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