研究課題
光薬理学的神経刺激法(photoswitch)は、光感受性化合物(photoactive molecule)を用いて神経細胞に光応答性を付与する技術である。これにより、光による高密度の神経刺激が可能となる。本研究では、photoswitchの有効性および安全性を評価するため、photoactive moleculeの合成法の確立と、photoactive moleculeの生理活性の評価系の構築を行った。Photoactive moleculeの合成法は4段階の反応ステップからなる。そのうち、最終ステップにおける中間生成物が不安定で分解しやすく、合成プロセス上の課題であった。そこで、不活性ガス雰囲気下禁水条件の合成プロセスを構築することで2種類のphotoactive molecule(化合物[1]、[2])の合成に成功した。今年度、光照射を行いながら神経系培養細胞の自発興奮を測定可能な評価系を構築した。光照射系を搭載した多極電極アレイ(multielectrode array:MEA)システムにより、神経系細胞株NG108-15(マウス神経芽細胞腫N18TG-2とラットグリオーマ細胞C6Bu-1のハイブリッド細胞)の自発発火に伴う細胞膜電位の記録に成功した。この細胞に化合物[1]添加し、青色LED光照射(15秒間隔の照射/非照射)を行った。しかし、光照射/非照射で発火頻度の差は検出されなかった。今後は構築した合成法と評価系を用い、有望なphotoactive moleculeの探索に取り組んでいく。
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Sensors and Materials
巻: 35 ページ: 3567~3567
10.18494/sam4619