研究成果の概要 |
PMDAの公開する医薬品副作用データベース等に集積された情報を解析し, 高齢者で特に問題となっている老年症候群の症状を中心とした副作用発現の状況をスクリーニングした. 高齢者に対して特に注意すべき代表的な薬物として加齢およびポリファーマシーの観点からトリアゾラム (TZR) を取り上げた. Greenblattらの報告 (NEJM, 1991) よりTZR血中濃度および鎮静・認知機能の推移を抽出し, PK/PDモデルを構築した. 高齢者 (69歳) にTRZを投与した時, 5.95 時間後に血中濃度が 0.44 ug/mLを下回るための投与量は0.156 mgと推定された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本邦の医薬品副作用データベース (JADER) を用いた解析は, 本邦におけるリアルワールドデータとして非常に有用であり, 近年多くの報告がなされている. 一方で,有害事象の定性的評価は可能であるものの, 定量的評価の実施は難しい. 本研究では, 治験では得ることが難しい高齢者における長期間の薬物使用状況と薬物有害事象の傾向の把握及び薬物の生体内運命の数理的モデル解析による包括的な評価を行った. このような研究は現時点で少なく, 本研究が先駆的な位置づけである.
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