切断者が装着する義足は,失われた身体機能を代償するパーツの組合せで構成されており,パーツの位置関係をアライメントという.また身体と義足の接続部である義足のソケットは,ボリュームや形状の調整による適合が重要となる.臨床的において,義足のソケットとアライメントの調整は,リハビリスタッフが切断者ごとに目視評価と主観的評価によって判断しており、経験的な勘や推測によって調整が行われているため,アライメントとソケットの調整に時間を要することが問題点として挙げられる.そこで,本研究は,義肢装具の適合評価の向上を目的として、義足アライメントとソケット内圧力の関係を分析することを目的とした。近年,歪センサを用いた義足のアライメント評価支援ツールがある.これは,荷重によって義足に生じるモーメントを計測して専用ソフトで可視化し,義肢装具士のアライメント調整を支援するものである.一方で、切断者の主観との整合性やアライメントとソケット内圧力の関係性のメカニズムは明確にされていない.義足の適合は,ソケットとアライメントが相互に作用するため,ソケットの適合が得られていなければ,正確なアライメントの評価はできない.そこで,本研究では,これまでのアライメント評価の研究成果の精度を高めると共に,ソケット適合における客観的な分析を加えることで,臨床における義足の適合精度に貢献できると考えた。本研究では,ソケット内圧力を計測するために,小型圧力センサをソケットに埋め込み,アライメント変化やソケット適合の調整におけるソケット内圧力を分析し,客観的データを基にソケット適合の評価を可視化を試みた。
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