Goldmann視野計 (以下,GP) 検査は,他の眼科検査に比べて熟達のための質の高いトレーニングが必要である。本研究は,GP検査における技能を評価する教育用システムを構築し,視野検査に関する教育の質の向上を目指すものである。2021年度は,前年度にソフトウェアを改良したGP検査のトレーニングシステムを視能訓練士教育に導入し,その有用性について検討することを計画した。 当該年度の研究実績として,視能訓練士学生と臨床経験5年以上の視能訓練士がシステムを用いて,同一の模擬患者 (緑内障性視野異常) に対するGP検査を行い,両者が検出した視野データの特性について比較検討した。主な結果として,学生は検出した視野データと模擬患者の視野データを重ね合わせたときに一致しなかった (検出の過不足) 領域が視能訓練士に比べて広かった。これは,先行研究で示されていた成果を定量的に示すものとなり,評価項目としての有用性を確認することができた。 さらに,視能訓練士学生を対象として,本システムのソフトウェア (PC操作) を用いた視野検査を視能訓練士教育に導入した。主な結果として,GP検査の技能を本ソフトウェアで定量評価し,その結果に基づいてフィードバックすることで,特に視野検出の過不足に対する改善効果が確認された。また,これまでのGP検査の教育は視野計がないと成り立たないものであったが,本研究成果は新たな視野検査の教育法としての有用性を確認するものにもなった。
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