研究課題/領域番号 |
19K20750
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大井 翔 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (40824636)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 福祉情報工学 / 認知リハビリテーション / 映像処理 / 注意機能評価 |
研究実績の概要 |
日常生活から認知機能の状態をリアルタイムに評価する方式を確立を目指すために,既存の認知機能を評価する検査キットをベースとした評価方式の方法について慶應義塾大学の医師たちと協議し検討した.2020年度では,2019年度に続き,認知機能の中でも最もベースとなる「注意機能」,日常生活行動として生活をするうえで重要な衣食住の「食」であることと,調理時は包丁や火を扱う行動があり,注意をしなければならないという点も考慮し,調理時におけるリアルタイムな注意機能評価についてフォーカスした.具体的には,2020年度は,2019年度の調理時における包丁手技に対して,注意ができていたのか(危険な状況を作ることがなかったのか)という項目に加えて,加熱作業時における状態を加え,ウェアラブルカメラを用いた調理中の映像を取得し,得られた映像データに対して,深層学習モデルを用いて包丁の状態(向きや位置),手の形状を識別し,手と包丁との関係性からリアルタイムに注意状態を評価を行った.また,注意状態の時間的変化を考慮して,危険度状態の推定を行い,リアルタイムで評価する方式を提案した.また,千葉県おゆみ病院のリハビリテーション従事者と本研究の評価についてディスカッションを行った. 2020年度の学外における研究発表として,International Conference On Video And Image Processing,画像電子学会研究会にて口頭発表を行った. 2021年度は,調理時における包丁の手技以外の行動にくわえて,コロナ禍におけるリモートを想定したVR上でも生活行動を再現し,評価するシステムの構築を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
認知リハビリテーションのための日常生活行動に基づく認知機能の定量化に関する研究のために,2020年度は調理時における包丁手技の行動時におけるリアルタイムな注意状態の判断に加えて,①他の注意機能の自動評価,②加熱作業における注意状態の評価,③調理時における遂行機能評価を行う予定であった.①については,ウェアラブルカメラを用いることで,使用者の頭部の状態を推定することにより,評価を行うことができた.②については,従来の方式に加えて,加熱作業における状態を定義し評価できる方式を提案した.一方で,③については,COVID-19の影響で,新たなデータの収集などが困難であったため,進めることができなかった. 2021年度は,実世界のみならず,VR空間での生活行動ができる訓練システムを構築することで,どこでもデータが取得でき,認知状態を評価できるシステムの構築も含めて目指す.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究では,2020年度の研究に続き,日常生活から認知機能の状態をリアルタイムに評価する方式を確立を目指すために,既存の認知機能を評価する検査キットをベースとした評価方式の方法について慶應義塾大学の医師たちと協議し検討していく予定である.また,大阪市職業リハビリテーションセンターなどと研究協力することで,有効性の検証も行っていく. 内容として,本年度では調理空間の環境,調理の手順なども考慮した評価方式を検討していくとともに,なぜ失敗したのか(注意不足や不注意),何が原因なのかわからない(無意識,意識が覚醒していない状態)という状態について,神経心理学を専門としている研究者とともに認知機能のモデルを設計することで,不注意や危険な行動になりえる原因について推定,遂行機能評価の自動化を目指す. さらに,コロナ禍の影響から,在宅での実用も重要な課題として考えられる.そこで,少数のセンサでシステムの実装することで,各家庭でも簡単に使用することができ,リモートでの活用できるシステムの基盤の作成することを目指す.これにより,日々の認知状態のログをどの家庭でも簡単に取得することができるので,施設以外の在宅でも認知機能の状態を管理することができ,遠隔認知リハビリテーションの実施も視野に入れることができると考える.また,日々の認知状態が把握できるため,認知状態の推定や医療機関への情報提供なども考えられる. さらに,実世界のみならず,VR空間での生活行動ができる訓練システムを構築することで,どこでもデータが取得でき,認知状態を評価できるシステムの構築も含めて目指す. 学外発表として,本年度は2020年度と同様に国内外の学会や研究会に発表するとともに,ジャーナル掲載を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、国内外の出張がなかったため、出張費(交通費や宿泊費)が未執行となった。 2021年度も、COVID-19の影響があるため、研究に必要な機材の購入、論文誌掲載を目指す。
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