研究課題/領域番号 |
19K20750
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
大井 翔 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (40824636)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 行動分析 / 高次脳機能障害 / バーチャルリアリティ / 認知科学 / コンピュータビジョン |
研究実績の概要 |
2022年度は,高次脳機能障害者のためのリアルタイムな認知機能の評価および認知リハビリテーションの課題に取り組んだ.具体的には,認知機能の訓練に関する専門家および高次脳機能障害が入所する施設と協力し,現場での職員の意見を反映させつつ高次脳機能障害に対するリアルタイムな認知機能の評価および訓練するシステムの開発を進めた. システムとしては,実世界および仮想世界を用いた方法について検討した.実世界おいてカメラを用いた調理中における記憶機能,注意機能,遂行機能を評価するための方式について検討した.仮想世界において,現職の職員や専門会の意見を参考に,日常生活行動に基づく注意機能,遂行機能,記憶機能を訓練することのできるシステムの開発を行った. 開発したシステムの検証をするために,2022年度は,高次脳機能障害のリハビリテーション施設において高次脳機能障害者5名を対象とし,1か月間の実験を実施した.実験の結果として,繰り返し体験を行うことで,高次脳機能障害者自身の認知訓練に関する意欲などが向上し,開発したシステムの効果があることを示した. 2022年度の研究成果として,高次脳機能障害向けのシステムに関する研究,認知機能の評価に関する研究,本研究で開発したシステムの技術を使った応用研究を国際学会に4件の発表,国内学会に11件の合計15件の発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度から現場との協力を経て,実際の高次脳機能障害に対しての実験を再開することができ,システムの有効性等を検証することができている. また,他の現場期間とも毎月ミーティングを行い,現場の意見を反映させつつシステムの構築ができている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,引き続き現場で働いている専門家の意見を交えつつ,高次脳機能障害の日常生活における認知機能の定量的な評価方法について検討していくとともに,実世界と仮想世界における認知リハビリテーションシステムの実現を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
開発したシステムの効果の検証のために病院に入所する高次脳機能障害者を対象とした実験をする必要があったが,コロナ禍の影響のため実験が12月以降での実験となってしまった.そのために,研究成果の発表に関わる旅費などの使用が少なかったため差額が生じた. 2023年度は,前期から施設との交流を行いシステムの開発をしつつ学会などで発表および実験参加者への謝礼で使用する予定である.
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