研究課題/領域番号 |
17H06878
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
小野 真由美 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (00609688)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2020-03-31
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キーワード | 介護 / ケア / 東南アジア / 日本式介護 / リゾート / 医療ツーリズム / 国際退職移住 / ライフスタイル移住 |
研究実績の概要 |
本研究は、東南アジアにおける介護リゾートの生成過程と、日本式介護の越境化による高齢者介護の知識と技能の越境的伝播と受容の過程を解明することを目的としている。東南アジアのマレーシア、タイ、フィリピンにおいて、外国人高齢者の国際移動の発生に伴い、介護サービスの事業化が進められており、当該地域の人々の高齢化も進む中、日本式介護の越境化が生じている。 2018年度は、マレーシア、タイ、フィリピンにおける高齢者介護に関する文献収集と先行研究の検討を引き続き行い、マレーシア(クアラルンプール)での現地調査を行った。クアラルンプールにおける現地調査からは、日本式介護の越境化の事例として、主に、高齢者介護事業の新たな動向について把握することができた。また、日本式介護という分類に当てはまらない現地の介護事情に関しても、聞き取り調査と視察を行い、マレーシアの都市部(クアラルンプール郊外)の高齢者介護の現状把握を行った。 研究成果の公表に向けて、共著書(近刊予定)に掲載する論文を執筆した。ひとつは東南アジアにおけるロングステイに関する論文であり、もうひとつは東南アジアにおけるメディカルツーリズムに関する論文である。本研究の対象とするマレーシアにおける日本式介護の越境化に関連するテーマである日本人高齢者の国際退職移住に関する研究をまとめ、単著書(近刊予定)として出版するために、執筆をおこなった。また、2019年4月に、分担執筆を行った『観光の事典』(担当部分「ライフスタイルツーリズム」pp.416-417)が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年度は、9月にマレーシアのクアラルンプールで調査を実施した。しかし、当初の予定では、フィリピン(マニラ、ダバオ、セブ)での現地調査も計画していたが、長期の現地調査を実施するのが困難な状況であり、計画通りに実施することができなかった。マレーシアにおける現地調査に関しても、ペナンやジョホールの調査については、2019年度にマレーシアを再訪し、実施する方向で検討している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、8月~9月にタイ(バンコクとチェンマイ)、12月~1月にマレーシア(クアラルンプールとペナン)、2月~3月にフィリピン(マニラとセブ)における現地調査を予定している。タイのバンコクでは、日本式介護を取り入れた高齢者介護サービス事業者、および日本人患者を受け入れる民間病院での聞き取りを行う。チェンマイでは、欧米人の要介護高齢者を受け入れる介護施設を訪問し、聞き取りを行う。マレーシアでは、2018年9月に訪問した介護事業者に引き続き聞き取りを行い、日本式介護事業の進捗について把握する。フィリピンでは、マニラにおいてフィリピン観光省を訪問し、医療ヘルスツーリズムに関する聞き取りを行い、その動向を把握する。また、PRA(フィリピン退職庁)を訪問し、退職ビザの発給と外国人永住者の傾向について聞き取りを行う。また、これまで日本人高齢者の受入れ実績のある介護事業者を訪問し、現状について聞き取り調査を行う。セブでは、リゾート内のケアサービスについて事業者への聞き取りを行う。また、これら現地調査の準備として、日本の各国政府観光局と関連事業者への聞き取りを行い、現地調査の具体化とネットワークを拡大する。
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