研究課題
研究活動スタート支援
本研究では1990年代に劇作家岸田理生がどのような問題意識を持ち韓国演劇界と交流したのかを、聞き取り調査と韓国での資料収集、作品分析を通して検討した。そのことで、岸田が韓国への関心の背景にある私的な交流の様相が見えた。また、岸田に関する資料は個人所蔵のものが多く、資料の所在が一般に公開されていなかった。その状況では、岸田の作品に関心のある研究者が資料にアクセスすることが難しいため、岸田の資料の所在を一般に公開することを目指し、調査と整理を行った。
演劇学
劇作家岸田理生の研究は1980年代のものが多く、90年代の研究はほぼ行われていない。本研究は、まず岸田の基礎研究として学術的に意義がある。さらに、日本の小劇場界と韓国小劇場界との草の根的な初期の交流史の一端が明らかになり、今後の日本演劇文化研究と文化交流史研究へとつながる。また、資料のアーカイブとウエブ公開に向けての調査と整理は、資料の散逸を防ぐ点と後続の研究者や岸田作品に関心のあるひとびとの資料へのアクセスの簡易化につながる点で、社会的に意義がある。