研究課題/領域番号 |
18H05569
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
山田 小夜歌 日本女子大学, 家政学部, 助教 (40825204)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | バレエ / ダンス / 芸術諸学 / 大衆文化 |
研究実績の概要 |
本研究は、帝国劇場に招聘されたバレエ教師・振付家・演出家G.V.ローシーの来日前および日本滞在中の芸術活動の内実と各活動期の影響関係を明らかにすることによって、彼を中心に展開された大正期日本におけるバレエのありようと、その意義について考察しようとするものである。 2018年度はローシーの日本での実践の背景を確認するため、彼の来日前の活動を中心に資料調査を行った。具体的には、①イタリアを中心とする活動、②英国(ロンドンを中心に)での活動について資料収集を行い、資料の分析と検討を進めた。 ①研究計画当初はイタリア現地における資料調査を予定していたが、研究期間が半年間であることを考慮して計画を変更し、本年度は国内での調査に徹した。主にアーカイブを用いて関連資料とイタリア国内の所蔵先を探索し、所蔵先と直接コンタクトを取って資料提供を依頼する方法を取ったが、ローシー自身が関与した作品の台本や譜面などを含めて、想定数を超える多くの資料(画像提供)の収集が叶った。これら資料の検証から、1880~1900年代におけるローシーを含むイタリア人舞踊家の関わった具体的な作品と作品構成、また舞踊家の流動性などについて調査考察した。 ②主にローシーが20世紀初頭に活動拠点とした2つのヴァラエティ劇場、アルハンブラおよびエンパイア劇場での上演活動に関わる新聞記事の収集を行った。収集した記事は、既に手元にある両劇場のプログラム、写真資料、関係者の書簡等と照らし合わせながら分析を進め、ローシーの実際の活動の記録と同地における評価を明らかにした。また、ヴァラエティ劇場のバレエ作品やダンサーに関して、同時期イタリアのバレエとの共通性、また、概してバレエ史上重要とされるパリ(オペラ座)やロシア(帝室劇場)のバレエにはみられない特異性について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度(初年度)は、当初計画した海外での資料調査が叶わなかったものの、ローシーのロンドン以前の活動と同時期のイタリア人舞踊家の活動実態の一端が明らかになったことは、当初の想定を超えた進展といえる。一方で、イタリア内外や英国に関わる資料が予想以上に収集できたことにより、その分析に時間を要したため、ローシーの日本国内での活動の調査については次年度に持ち越すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、昨年度ほとんど実施できなかったローシーの日本での活動調査を優先的に行い、彼の日本での実践を解明する。ローシーの日本での活動と彼が移入したバレエについて、彼の来日前の諸実践や、ヴァラエティ劇場、帝劇、ローヤル館といった周辺事情もあわせて検討し、そのありようを描き出すことが課題となる。なお、本研究の当初計画では予定していなかったが、ローシー由来のバレエの特徴を考察するには、ローシーの離日後アメリカでの活動や同国内資料の調査が必要である。そのため、今後はアメリカの新聞記事の調査もあわせて行う。
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