研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、フィリップ・デスコラの思想について、現象学以降の哲学史的流れと、構造人類学以降の人類学史的流れの二つの側面から研究を行った。特に身体論的テーマに注目し、哲学的言説と人類学的言説の交点を探った。成果としては論文数本を発表したほか、デスコラの主著『自然と文化を超えて』の翻訳を完成させた。また渡仏調査にてデスコラ自身へのインタビューを行い、それを論文として発表した。
哲学
様々な分野で学科的枠組みを横断する問いかけが交わされている現在、現代人類学が提起した「存在論的転回」という問題設定に応答することは、現代哲学にとっても喫緊の課題である。本研究では、メルロ=ポンティの現象学的身体論を参照しつつ展開されるフィリップ・デスコラの思想を取り上げ、改めてその哲学的意義を問い直すことを通じて、哲学的言説と人類学的言説という従来の枠組みを超えて現代社会における身体の在り方を議論するための緒を探った。