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2018 年度 実績報告書

中国語における連続構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H05576
配分区分補助金
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

橋本 陽介  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (10726631)

研究期間 (年度) 2018-08-24 – 2020-03-31
キーワード流水文 / 連続構造 / 「一つの文」
研究実績の概要

言語における「文」とは一般的に「ひとつのまとまった考えを表すもの」とされる。現代の書き言葉では「句点から句点まで」が「一つの文」と通常は見なされる。しかし中国語の物語文では、読点・句点による区切り方が日本語や英語などの言語と相当に異なっている。区切り方が異なるということは、「文」の観念、すなわち中国語において「ひとまとり」の観念が日本語や英語とは異なるということである。本研究では、中国語の「文」、つまり「ひとつのまとまった考え」とはどのように構成されているのかを、日本語や英語と比較の上で明らかにする。
本年度では、まず「中国語書き言葉における「文」論序説」(『人文研究』2019)で問題の設定について詳しく議論した。そして、句点から句点までを「一つの文」とするならば、中国語の小説言語では次のような特徴があることを確認した。①欧米言語や日本語では「一文」にできないものが読点でつながっていってしまう ②読点でも句点でもよい場合が多い ③複文の論理的関係がよくわからない ④従属節が比較的独立している。
さらに、「現代中国語における時間軸に沿って継起的に起こる出来事と連続構造」(『お茶の水女子大学中国文学会報』、2019年)では、時間軸に沿って継起的に起こる出来事の表し方について見た。このようなケースでは中国語は動詞句を単純に連続させていく形式を日本語などに比べて好む。また連続して起こる動作、状態変化は「一つの文」にまとめられることが多い。この際、主語が同じでも、何度も切り替わっても問題ない。中国語における節の連鎖は、これまで主に行われてきたような論理的意味関係からの分析では限界があり、独自の分析を考える必要があるが、よく観察してみれば中国語としては合理的なしかたでまとまりを作っていることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまで、中国語の複雑な「文」がどのように形成されているか、明らかになっていないのは、欧米の研究手法を中国語に当てはめているからである。中国語にうまく当てはまらないとするならば、それは欧米言語の分析を基準としているからである。
本年度の研究においては、中国語において「一つの文」がどのように出来上がっているのか、ほぼ概要が明らかになった。後は、文章としてまとめ、発表することを残すのみとなっている。

今後の研究の推進方策

すでに目標として設定した研究の大筋はつかめており、本年度においてはそれを文書化し、発表の準備を整える。出版社と協議し、成果の発表を準備する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 中国語書き言葉における「文」論序説2019

    • 著者名/発表者名
      橋本陽介
    • 雑誌名

      人文科学研究

      巻: 15 ページ: 161-172

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 現代中国語における時間軸に沿って継起的に起こる出来事と連続構造2019

    • 著者名/発表者名
      橋本陽介
    • 雑誌名

      お茶の水女子大学中国文学会報

      巻: 38 ページ: 印刷中

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「一つの文」とは何か2018

    • 著者名/発表者名
      橋本陽介
    • 学会等名
      表象文化論学会

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公開日: 2019-12-27  

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