研究課題/領域番号 |
19K20786
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
日高 知恵実 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (70825174)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 漢語方言 / 方言 / 徐州 / 3D / 地域差 / 世代差 / 言語地理学 / 社会言語学 |
研究実績の概要 |
本研究は、「3D言語地図」を作成することによって、中国江蘇省徐州市で話されている徐州方言の実態および動態を社会言語地理学的観点から明らかにするものである。通常、言語地図は平面的(二次元)に作成されるが、これを立体的(三次元)に示すことで、ことばの地域差と世代差の両方を同時に可視化することができる。2年目となる令和元年は、主に以下の3つを進めた。 (1)データ収集・整理: 令和元年8月に徐州市において方言データの補充調査をおこなった。また前年度に引き続き、既存のデータも含めた①音声データの切り出し、②Excel上での語形(漢字)と音声形式(IPA)の入力といった整理作業を進めた。 (2)「3D言語地図」の作成とこれに伴う打ち合わせ: アメリカのOriginLabが開発しているデータ解析・グラフ作成ソフトウェア「Origin」を用いて、「3D言語地図」を作成した。「Origin」の正規国内代理店であるライトストーン社の担当者の方と複数回にわたって打ち合わせをおこなった結果、既存の機能を応用することで、言語地図の作成に適した記号を使用することができ、また完成した言語地図の回転表示および動画変換も実現した。 (3)学会発表と論文執筆: 以上の成果物として、学会での口頭発表と論文投稿をおこない、専門家各位から貴重なご意見を得ることができた。口頭発表2件は、中国・西安で開催された「国際城市語言学会」、および青山学院大学で開催された「日本地理言語学会」において、それぞれおこなった。論文1件は、東京外国語大学「アジア・アフリカ言語文化研究」の電子出版物に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析に十分なデータの収集と「3D言語地図」の作成を実現でき、また成果物を発表することもできたため。 その一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、令和2年2月・3月に予定していた文献調査が実施できず、参加予定であった研究会も延期された。これを受け、本課題の研究期間を来年度まで延長した。現段階では収束の目途が立たず、不自由な面もあるが、この事態を前向きに捉えて研究内容をより深化させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下の3つを進める。 (1)引き続きデータ整理をおこない、より多くの項目の「3D言語地図」を作成する。その上で、自身のwebページを開設し、web上で「3D言語地図」が一覧できるよう整備する。 (2)「Origin」を用いた「3D言語地図」作成マニュアルをまとめ、web上で公開する。 (3)中国の権威ある学術誌での掲載を目指して、論文を執筆・投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、令和2年2月・3月に予定していた文献調査が実施できず、参加予定であった研究会も延期された。これを受け、本課題の研究期間も来年度まで延長した。 よって現段階では、収束が確認され次第、本来予定していた文献調査や研究会参加の旅費として使用することを考えている。ただし、今年度中の出張の目途が立たない事態となった場合は、図書購入費およびwebページ作成に関する整備費用に充てたい。
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