研究実績の概要 |
本研究では,日本人英語学習者の関係代名詞の使用に注目し,1) 日本人英語学習者,2) 英語母語話者,3) 中学・高校の教科書のコーパスから関係代名詞を含む例文を取り出し,表層形 (that, which, who, whose, whom)及び構造別出現傾向を比較することで英語学習者の習熟度の枠組みであるCEFRレベルごとの言語特徴を抽出することを目的とする。これにより,CAN-DOリストの精緻化や,より効果的な教材開発や教授法に貢献できると考える。
使用したコーパスは,1) 大学生の英語学習者のコーパスである ICNALE (The International Corpus Network of Asian Learners of English)の書き言葉データ,2) 英語母語話者のコーパスであるBNC (British National Corpus)のサブコーパスであるBNC Baby,3) 中学・高校の検定教科書のコーパスである。1年目はこれらのコーパスから関係代名詞を抽出し,各例文に1) 表層形,2) 関係代名詞の機能の分類,3) 埋め込み位置の分類に基づき,タグを付与した。また, 関係代名詞を使わない場合どのような表現を用いているかを見るため,タスクを用いた大学生の作文データを収集した。1年目から2年目にかけては,学習者データへのエラータグ付けを行うと同時に,各コーパスから省略された関係詞を抽出すべく,Stanford Parserを用いて構文解析し,関係代名詞の省略が含まれる品詞の並びを含む例文を自動的に抽出したうえで,目視により省略部分を取り出した。これらのデータをもとに,コーパスごと及びレベルごとの使用傾向を集計した。
今後の学会や論文での発表に向けて,より詳細な分析をして準備を進めている。
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