主要な上代文学作品の個別的な研究は、近年に至っても様々な手法を取り入れつつ進展しているものの、上代における韻文の研究という包括的な観点からは、歴史資料に書かれた韻文が看過されている以上、取り組むべき課題は未だに多いといわざるを得ない。歴史資料における和歌や漢詩、韻律上の制約を持つ駢儷文など、認識はされているが理解がされていない韻文や、これまで韻文と認識されていなかった文字列も、主要な上代文学作品と同様に上代の韻文作品と位置付け究明していくことにより、上代韻文研究を推し進め、個別の作品理解を深化させる手段となり得る。
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