研究課題/領域番号 |
18H05585
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
石川 友和 玉川大学, ELFセンター, 助教 (00826323)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 国際語としての英語 / 多言語主義 / 英語教育 / 異文化教育 / トランス理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語が支配的な大学・学部において、いかにグローバルな多言語多文化社会に向けたコミュニケーション教育ができるか、またその意義はどのようなものかに迫る。2018年度は以下の成果が得られた。 (1) 人文系専門科目によるEMF認識: EMF認識とは、多言語主義における国際語としての英語(EMF)に関する理論・実践両面での学修のことであるが、本科研費交付直後にソフトウェアを購入し、データの精緻な分析を始めた。現在、国際学術誌の編集者から要求された改訂を終了し、本科研費期間中に発刊予定である。同テーマによる先行研究はなく、これからの教育論議に貢献できるものと自負する。
(2) EMF認識の英語科目への応用: 2019年1月、高等英語教育に詳しい中国汕頭大学方帆氏を招聘し、研究報告の質的保証を議論すると共に、共同研究の方針を決定した。同2月には、初等・中等英語教育に詳しい英国ケンブリッジ大学チェ・クン氏を招聘し、アクションリサーチのデータ収集・分析法を議論した。これとは別に、両氏には玉川大学ELFセンターでご講演いただいたが、その模様をホームページで公開する準備を進めている。この公開は、国際語としての英語という分野における学問の進展状況を発信する上で有意義と言えよう。
(3) トランス文化教育の確立: トランス文化とは、「異文化」コミュニケーションという分野における、異質性や地域性に縛られないグローバルなアプローチのことであるが、これに関する教科書は存在しない。2019年2月に英国サウサンプトン大学を訪問し、自ら英語科目や英語による専門科目における文化の位置付けについて講演すると共に、ジェニファー・ジェンキンズ氏から指導を受ける機会、及び、教科書の共著者となるウィル・ベーカー氏と3日間に渡って議論する機会を得た。現在、各章の詳細まで決定しており、本科研費期間中の第一稿完成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 人文系専門科目によるEMF認識: 期待していた英語による専門科目が新設されなかったこと、研究許可が下りないクラスがあったことから、予定通りのデータ量を収集できなかった。しかし、確保済みデータの詳細な質的分析により、予定通りに国際学術誌論文を完成できた。
(2) EMF認識の英語科目への応用: 国際連携に関して、英語科目そのものを共同運営するのではなく、日中の学生を対象として授業外での連携と、それによる授業内での影響を共同研究することに改めた。それ以外は予定通りに進んでいる。
(3) トランス文化教育の確立: 予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 人文系専門科目によるEMF認識: 研究成果を、2019年7月にELF12国際学会(コロンビア・メデジン)で発表する。また、そこでのフィードバックを元に、国際学術誌での招待論文、及び2020年発刊の書籍の一章をまとめる予定である。
(2) EMF認識の英語科目への応用: 中国汕頭大学方帆氏との共同研究を進め、予備分析結果を2019年8月に大学英語教育学会(JACET)国際大会(名古屋)で発表する。2019年度中に研究成果をまとめた上で、できるだけ早い時期に複数の国際学術誌に投稿する。
(3) トランス文化教育の確立: 2019年8月、英国サウサンプトン大学ウィル・ベーカー氏を招聘し、完成分の原稿を元に議論を行う。また、同氏には玉川大学ELFセンターにてご講演、及び具体的教育実践に関するワークショップを実施していただく。このイベントは、広く外部からも参加可能であり、その模様は後日ホームページで公開予定である。
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