研究実績の概要 |
本研究では日本における西洋古典の受容史研究を行った。日本における西洋古典の受容は、16世紀のイエズス会のラテン語教育に端を発す。その後現代に続くまで西洋古典は様々な形で受容されてきた。本年度はイエズス会創始者の一人であり、日本で初めてキリスト教の布教活動を本格的に行ったとされるフランシスコ・ザビエルに焦点を当てた以下の論文を発表した。Ichiro Taida, Francisco Xavier's activities regarding the Japanese language, Acta Missiologica (ESCI) 14(1) 8 - 20 2020年4月.この論文のタイトルは彼の日本語教育・日本語学習に主眼を置いているが、宣教師の現地語学習と彼らへの現地語教育は、現地の人々のラテン語学習、ラテン語教育と表裏一体の関係にあった。本論文はそうしたことを踏まえた内容になっており、受容史研究の一環と言えよう。 Acta Missiologicaという雑誌は、 ESCIというデータベースに登録されたトップジャーナルの一つである。またアジアにおけるザビエルのラテン語教育に焦点を当てた英文論文を投稿し、アクセプトされた。Francis Xavier and Latin Education in Asiaというタイトルで、East Asian Journal of Classical Studiesという雑誌で創刊号から出版予定である。この論文は筆者が以前日本語で出版した論文を大幅に改良して翻訳したものである(「フランシスコ・ザビエルが携わったアジアにおける語学教育」、『観光学研究』、18号、 117 - 125頁、 2019年3月)。
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