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2019 年度 実績報告書

中世ドイツ文学における「アーサー王物語」の脱定型と騎士道の相対化

研究課題

研究課題/領域番号 19K20796
配分区分基金
研究機関立教大学

研究代表者

松原 文 (松原文)  立教大学, 文学部, 助教 (70827245)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2020-03-31
キーワードアーサー王物語 / 中世文学 / ドイツ文学 / 聖杯物語 / 騎士 / パルチヴァール
研究実績の概要

ハインリヒ・フォン・デム・テューリーンの『王冠』は、ドイツ語圏の第2世代のアーサー王物語といえる。作品の後半ではヴォルフラムの『パルチヴァール』のプロットが大枠において流用されている。本年度は第一に、クレティアン・ハルトマン・ヴォルフラムの「古典的」アーサー王物語と『王冠』の比較研究について、この半世紀あまりの文献を参照した。重点的に参照したのは、80年代以降の作品再評価の動向である。かつて「古典」の亜種として見過ごされてきたこの作品の価値は、「間テクスト性」の視角から近年注目を集めている。第二に、両者の比較の手がかりとして騎士の美徳を表す概念に注目し、使用例を一覧化し(頻度の高い5つの語について)、共に用いられる語彙等の分析に取りかかった。『王冠』がハルトマン・ヴォルフラムの作品を明らかにプロット上引用している箇所については、語の使用状況を作品間で比較した。第三に、騎士の美徳概念の研究文献を参照し、新たに教化詩のジャンルに目を向けた。『王冠』より十数年早く書かれた『パルチヴァール』において、美徳概念が空洞化して単なる強調表現に用いられる用例がすでに散見される。その一方、同時代には美徳概念を列挙して聴衆の教化を図る教化詩が複数生まれており、騎士の理念化に対する強い関心が窺える。以上の取り組みは完結を見ず、継続中である。また昨年度からの継続で、ハルトマンとヴォルフラムにおけるtriuwe(誠)とminne(愛)の2語の使用例を分析した。minneの問題視と抑制の主張がハルトマンからヴォルフラムに引き継がれた例について、国際アーサー王学会日本支部で報告した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ガーヴァーンの秘密主義とtriuwe――宮廷の美徳のジレンマとパルチヴァールによる解決――2019

    • 著者名/発表者名
      松原文
    • 雑誌名

      『詩・言語』(東京大学大学院ドイツ語ドイツ文学研究会)

      巻: 86 ページ: 1-24

    • 査読あり
  • [学会発表] ハルトマンからヴォルフラムへーー13 世紀初頭ドイツにおける翻案と詩作――2019

    • 著者名/発表者名
      松原文
    • 学会等名
      国際アーサー王学会日本支部 2019年度年次大会
  • [図書] アーサー王伝説研究 中世から現代まで 第四部 ガーヴァーン物語とパルチヴァール――『パルチヴァール』における二人の主人公の接合と馬の関与――32019

    • 著者名/発表者名
      松原文
    • 総ページ数
      30
    • 出版者
      中央大学人文科学研究所研究叢書
    • ISBN
      978-4-8057-5355-2

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公開日: 2021-01-27  

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