研究課題/領域番号 |
18H05594
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黄 孝善 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (80828848)
|
研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
キーワード | 体系 / 終助詞 / 江戸語 |
研究実績の概要 |
近世後期江戸語のなかには文末に「わな」「ぞえ」のように終助詞が複合的に用いられているものがある。それらの終助詞は、相互承接する際に階層性がみられ、ある体系が存在するように思われる。また、その体系はそれぞれの終助詞が持つ基本的な意味と関連があると思われる。しかし、その体系と終助詞の基本的な意味がどのような関係を持つかについては十分に明らかになっていない。本研究は、複合用法の終助詞の階層性と終助詞の基本的な意味とどのような関係を持つかを明らかにして、近世後期江戸語の終助詞の体系を描き出そうとするものである。そこで、現在、近世後期江戸語終助詞がみられる江戸語資料(洒落本、人情本、滑稽本)を選定・確保、用例を収集し、分析を行っている。この研究は、日本語史上での終助詞の意味と体系の関係性の究明するもので重要な位置を示すものであり、現代語の終助詞の意味や体系についての研究にも役に立つと思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、近世後期江戸語終助詞が用いられている文献資料の選定と複合用法の終助詞の用例の収集と分析、また、終助詞「や」、「い」、「の」、「す」、「か」の用例を集めてその基本的な意味について分析を行うという計画であった。 まず、「わな」「ぞえ」のような複合用法の終助詞がみられる江戸語資料(洒落本、人情本、滑稽本)を選定・確保し、用例を集めて整理をおこなっていたが、これらの終助詞を集めて整理を行うためには、その作品の内容について把握するたけでなく、江戸人による会話であるかどうかの判断などが必要と思われて予想外の時間が掛かることがわかった。その結果、現状況では十分であると言えるまでには至っていない。 また、まだその意味が明らかになっていない「い」、「か」、「す」、「の」、「や」という5週類の終助詞については、購入した作品のなかで「か」と「の」の用例は多く収集できたが、「い」「す」「や」の終助詞についてはその意味を明らかにするために十分な数が収集できずまだ意味分析に進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、選定した江戸語資料(洒落本、人情本、滑稽本)のなかで「わな」「ぞえ」のような複合用法の終助詞の用例とデータの整理・分析については、もう少し時間を掛けてその文の内容の把握と江戸人による会話の用例を収集していく。その後、これらのデータを基づいて分析を行い、近世後期江戸語終助詞の体系について考察を行う。 また、基本的な意味分析を行う終助詞「い」「す」「や」については、まだ十分な用例が確保されていないので、対象作品を増やしてその用例の収集を続ける。その後、それぞれの終助詞の基本的な意味について考察を行う。 以上から得られた結果を踏まえて、それぞれの終助詞の基本的な意味と承接順による体系にどのような関係があるかについて考察を行い、江戸語終助詞の体系を描き出す。
|