研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本国内において既に実施されている外国語教育政策の「効果」を実証的に解明することを通して,世界で活躍する日本人を育成するための効果的な外国語教育政策の在り方を検討することである。日本の外国語教育政策は,学術界内外において注目度の高いテーマである。従来の外国語教育研究では,しばしば政策の効果検証の欠如が指摘される一方で,実証的にその効果検証を試みるものは極めて稀であった。 本研究では,政策研究に蓄積のある教育行政学等の社会科学分野において培われてきたアプローチを援用し,教育現場により近い行政機関である全国の教育委員会に対して,外国語教育政策の効果等を尋ねる質問紙調査と聞き取り調査を行なった。採択1年目には全国の市区町村教育委員会のうち,人口を考慮した層化抽出法により選定した1,000件の自治体を対象に郵送で質問紙調査を行なった。回収率は,50.0%(500件)であった。採択2年目には,全国の都道府県および政令指定都市の教育委員会を対象に,同様に郵送で質問紙調査を行なった。回収率は62.7%(42件)であった。また,得られた回答のうち,異常値と思われるもの等については追加で聞き取り調査を行ない,データの整理を行なった。さらに,回答結果をもとに,自治体の追加施策についての資料収集を行なった。 年度末時点までの実績としては,以上のデータは電子化のうえ,基礎的な集計までを終えている。そして,それを複数の査読付き学術雑誌に投稿しているところである。また,上記の調査以外にも,理論的研究等を予定通り行ない,国内外における学会発表や各種学術雑誌への投稿を行なっている。それらのうちのいくつかは既に出版済みである。
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