公宴歌会(宮中で行われた晴儀の歌会。鎌倉時代後期から正式な制度として始まるが、室町時代にその整備が行われた)の開催実態に迫ることが研究の目的である。当初の予定通り、後柏原天皇代(室町時代後期、公宴御会の整備に力を注いだ)に行われた公宴歌会に関して、『実隆公記』、『元長卿記』、『言継卿記』などの公家日記や私撰集、私家集、文書、短冊、懐紙類の集成によって、その実態に迫ることが出来た。これらの中には、従来ほとんど知られていなかった資料も含まれる。これにより、後柏原天皇が公宴歌会の制度を整備した天皇として位置づけられ、現在の宮中歌会始の直接のルーツとも評価できることが明らかになった。
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