『異本梁塵秘抄口伝集』(『梁塵秘抄口伝集』巻第十一~巻十四)の基礎的研究(諸本調査、翻刻、本文校訂、注釈)を進展させた。研究期間を通して、九種類の伝本の所在を確認し、調査・翻刻を行った。さらに、第十一については、伝本間の本文の比較を行い、校訂を施した。巻第十一には、『梁塵秘抄口伝集』以外に、『郢曲抄』や『梁塵秘抄』といった名称で伝わっているものが見られ、前者と後者の間には大きな本文の異同が確認できた。本文内容の検討により、前者の本文がより古い形態であることを明らかにした。また、後者の本文は、『多家秘書』に収められたことによって流布した可能性が高いことを指摘した。
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