本研究の目的は、「日本の公立小学校の教室内で、学級担任(HRT)、外国人指導助手(ALT)そして児童がどのように関わり合いながら英語を学び教えているか」ということについて明らかにし、より効果的なチームティーチングの方法について示唆することである。 本研究では、申請者が補助教員として2013年度まで地域の小学校で授業中の支援をしながら実地調査を行った。具体的には、授業観察及び教室での学級担任・ALT・児童の授業中の発話の録音分析をすると同時に、学級担任・ALTに対しインタビュー調査等を行った。更に、2020年度からの英語正式教科化への移行期間である2019年2~3月に、再び研究対象校を訪問し追加調査を実行、週一回の頻度でボランティアの補助教員として参与観察をしながらデータ収集を行った。 調査の結果、学級担任、ALT、そして児童の三者は、対話者の明白な理解構築の為、談話標識(discourse marker)や繰り返し(repetition)等の方法を使用し、日本語、英語、オノマトペ等の言語的資源を使いながら、時には沈黙(silence)により相手の面子(face)を保ちつつ、足場掛け(scaffolding)や修復を(repair)を行い、互いに協力し英語学習を進めていることが明らかになった。また、追加調査時には授業内にアルファベット等の読み書きの活動が加わったが、授業の最後に時間を取って行う形態であった為、今後時間の経過とともにその割合が増えるのか、そして三者のコミュニケーションに変化はあるのかということにも注目したい。 本研究の最終年度である2019年度は、これまでに収集したデータをもとに分析結果をまとめた博士論文を完成させ提出、2020年1月に博士(教育学)の授与が決定した。また、研究成果を公にする為、国際・国内学会にて各1本ずつ研究発表を行い、1本の学術論文を投稿した。
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