現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度の研究達成計画は下記の通りであった。 1. 宜野湾・山里・謝名の3地点の面接調査を実施し、用例を収集する。 2. 名詞・動詞・形容詞述語文を網羅的に調査する。 3. 表出法、前提・思い出させる・注目の文、終助辞について調査する。 4. データをデータベース化する。 1, 2, 3, 4の全てを達成することができた。(1)用例の収集は、面接調査だけでなく、研究論文や刊行書籍等、既存の資料からも多数得ることができた。(2)これまでの研究では動詞述語文に焦点をあてて実施してきたため、名詞および形容詞述語文の用例を優先して収集した。(3)その結果、形容詞に関わる表出法に関して、定まった語形がなく、いくつかの語形が場面に依存して使い分けられていたことが分かった。さらに、「既知・未知」および「前置き・働きかけ」という観点から前提・思い出させる・注目の他に「気づかせる」文を設定する必要性があることが分かった。(4)それぞれのデータを調査地点・話者・調査項目が分かるようにデータベース化し、問題点や今後調査すべき点を整理し、来年度の調査に繋げられるようにした。さらに、上に挙げた計画以外に、研究成果を研究会で発表することができた。従来「確認要求」と呼ばれてきた文を「前提・注目・思い出させる・気づかせる」という4つの文に分類し、その分類方法や分析方法について、沖縄言語研究センター総会にて研究発表を行った。「確認要求文」を「叙述(物語)文」に位置づけ、新たな分類方法を提示した点が日本語研究にも寄与できるとして評価された。また、文法研究のかたわら、琉球諸語研究の意義の追求のため社会言語学的な研究も行っており、「ネオ沖縄語」について国際学会で発表を行うことができた。このように、1, 2, 3, 4の全てを達成できただけでなく、計画以上の成果が得られたため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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