本研究は15~16世紀オスマン朝の宮廷儀礼分析を目的とする。文献史料に加えて、建築史および美術史の手法を援用し、複合的に儀礼を復元する点に本研究の学術的独自性がある。宮殿の建築空間や儀礼の細密画における描写を詳細に分析し、断片的な文献史料の記述とあわせて、儀礼の復元に努めた。 絵画史料からはスルタンとの謁見時に小姓らが左右に描かれると同時に、上座下座の区分があったとの事実を導き出した。さらにオスマン朝の覇権以前のアナトリアでは諸勢力が大規模な宮殿を造営する力を失い、その代替として高層建造物が選択さてれ謁見空間として用いられたことを文献史料の分析から明らかにした
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