本年度は論文1本を公刊し、国内研究調査1回を行った。海外研究調査1回と学会発表1本を行う予定であったが、新型コロナウイルの影響で海外渡航および学会が中止され、実施できなかった。 論文は「爵保有者の階層にみる両晋・北魏の爵制運用の比較」(『名城大学人文紀要』 55-1、2019年9月)を公刊し、史料を数量的に扱い分析する方法で成果を得た。 学会発表は、瀬戸内魏晋南北朝史研究会にて「北魏墓誌の銘辞を用いたキストマイニング研究の可能性」という題目で2020年3月22日に大阪教育大学・天王寺キャンパスにて発表予定であったが、新型コロナウイルによる影響で学会自体が中止となってしまった。しかし、Digital Humanities (人文情報学)において特に歴史研究にフォーカスを絞った試みを行っているTokyo digital historyに本年度より参加しはじめ、今後はこの研究会にて発表を予定している。また、この学会発表のレジュメを元に論文化を行っている最中である。 本年度は北魏墓誌のデータ入力を終え、銘辞部分をテキストマイニングによって分析するという目的が達成できた。今後はこのデータを元に、北魏、ひいては北朝の文化的社会集団の復元を発展的に継続してゆく予定である。このテーマに基づいた計画は、2020年度開始の科研費(若手研究)に「感情史的アプローチによる中国北朝墓誌の分析と文化的社会集団の復元」という課題で三年間採択されたため、発展的に継続してゆく。
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