研究課題/領域番号 |
18H05632
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
水ノ江 和同 同志社大学, 文学部, 教授 (10824568)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 九州系縄文土器 / ケツ状耳飾 / 擦切石斧 / 対馬海峡西水道 |
研究実績の概要 |
本研究課題「縄文時代における日本列島とその周辺地域との関係性について」のとおり、平成30年度は北日本と極東ロシアとの関係性解明のために岩手県への資料調査、九州と朝鮮半島との関係性解明のために対馬・宮崎・鹿児島と韓国への資料調査を、購入したパソコン・カメラなどを駆使しながら実施した。 特に韓国においては、韓国で出土する九州系縄文土器の調査や、日本列島との関係性が指摘されている石製装身具であるけつ状耳飾の調査を実際に現地で行った結果、人の行き来はそれなりにあるものの、文化的関係性については言われている以上に薄いことを改めて確認した。この要因は、対馬と朝鮮半島の間に存在する48㎞の幅の対馬海峡西水道と、そこを流れる強い対馬海流の存在にあり、それが頻繁な人の行き来と深い交流への大きな妨げになったと考えられる。 北日本については、近年話題になっている北海道日高産のアオトラ石を使用した石斧の調査を行った。この石材による磨製石斧の多くは極東ロシアとの関係性が指摘されている擦切技法によって製作されていることから、その分布範囲や実際の技法の実態調査を岩手県において実施した。極東ロシアや北海道方面については平成31年度の課題である。 このほかに、日本列島の縄文文化の在り方を追究したテーマの研究会やシンポジウムにも参加して、最先端の研究動向の把握に努めた。また、収集したデータについては、考古学研究室に所属する学生をアルバイトとして雇用して整理作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国では、釜山市福泉洞博物館の協力により、2018年10月に開催されていた「古代の耳飾展」の休館日に、展示されていた韓国出土のけつ状耳飾の全13点の熟覧を実施できたことが本研究においてとても大きかった。他の機関での調査も多くの協力を得ることでおおむね順調であったが、極東ロシアについては相手方との日程調整が上手く行かず、平成31年度に持ち越しになったことは残念である。 最新の研究成果による研究会やシンポジウムにも、日程調整が上手くいき適宜参加できたこと、資料整理についてもアルバイト学生の協力が適宜得られたことにより、おおむね順調に進んでいるという認識である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に実施できなかった極東ロシアでの現地調査や、北海道における最新資料の調査などを確実に進めることが肝要である。また、九州方面の最新の発掘調査成果もさらに続出しており、これらも漏れがないように収集することが重要である。以上のことを計画的に進め、年度末のまとめに向けた取組を、学生アルバイトも適宜活用しながら着実に進めて行きたい。
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