本研究は毛彫馬具のセットなど、古墳時代終末期の馬具を主要な対象として、生産、使用の実態を資料に即してあきらかにすることをめざす。生産、使用の具体像にもとづき、馬装体系と呼称される、馬具の種類と組み合わせにより様々な社会関係を表示するシステムが当該期には存在したのか、存在したのであれば、古墳時代後期までの馬装体系とどのように異なるかを明らかにする。 2020年度は、引き続き毛彫馬具の資料調査を実施し、資料集成の補足をおこなった。また、奈良文化財研究所都城発掘調査部(飛鳥・藤原地区)が所蔵する飛鳥・藤原地域出土の毛彫馬具と関連する帯金具等の資料整理をおこなった。これらについては、今後刊行される『奈良文化財研究所紀要』で資料の紹介を公表する予定である。
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