本研究は、フランス法におけるayant cause概念の意義を探求するものである。同概念は、権利義務の譲受人を意味する承継人概念と同一視されることが多い。しかし、債務者から何の権利義務の譲り受けも受けていない一般債権者が債務者のayant causeとされるなど、両概念は別個のものである。 一般債権者は債務者の資産から債権を回収する。従って、債務者が資産に関して行った行為について利害関係を有する。この利害関係は一見すると事実的なものに過ぎないが、フランス法はこの関係性を法的なものとして掬い上げる点に特徴がある。
|