本研究では、所得はどのような要素に基づいて誰に課税されるか、また、所得を獲得するために利用された財産の取得費はどのような理由から控除されるべきかについて、それぞれ生命保険信託と減価償却資産を素材として探究した。財産の所有のあり方や譲渡の方法、さらには世代間での移転など、財産の所有と移転のあり方は金融取引の発展や社会情勢を踏まえてますます多様化している。本研究の成果は、財産の所有者と財産から生じる所得の所有者とが異なる場合の所得の帰属の決定、課税単位(個人、家族、それ以外の集団など)および、人的資本の涵養の促進に向けた税制のあり方に関する基礎的考察として資する。
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