研究課題/領域番号 |
18H05651
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲谷 信行 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (10824279)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 管理職労働者 / 解雇規制 / ドイツ労働法 / 事業所組織 |
研究実績の概要 |
本年度は、当初の計画通り、ドイツ法における管理職労働者の法的取扱いに関する立法の変遷や判例ないし学説上の議論について文献調査を中心として研究を行なった。ドイツ法においては、いくつか領域において管理職労働者に関する議論が行われているが、その中でも事業所組織法と解雇制限法における特別取扱いに関する議論を中心として、主要な文献の収集・通読を行なった。なお、文献収集に関して、短期の在外研究を行い、ドイツのハイデルベルク大学及びオーストリアのウィーン大学の図書館を利用した。文献調査に関しては来年度も引き続き行う予定である。 両法律を研究の中心としたのは、それらの議論を確認することにより、ドイツ法における管理職労働者の基本的な位置付けを明らかにすることができると考えたためである。管理職労働者について、当初は、両法律の保護の対象からは除外されていたが、その後の社会状況の変化を受けて保護の対象に追加されたという歴史的経緯及び、それぞれの法律に固有の特別取扱いの根拠について分析を行なった。これらは、日本における管理職労働者の法的取扱いを検討する上でも参考となるものであり、本研究課題にとって重要な意義を有する。 本年度の研究成果については、来年度において、日本労働法学会での個別報告をはじめとして、いくつかの研究会において研究報告を行うことを予定している。また、それらの学会等での議論を踏まえつつ、論文として公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、ドイツ法における管理職労働者の法的取扱いについて文献調査を中心に研究するとともに、ドイツ企業実務における管理職労働者の取扱いについても調査することを予定していたが、少し遅れている。その理由は、法当初の予定していた管理職労働者だけでなく、会社法上の機関構成員に関する労働法上の取扱いについても調査することが有益であると考え、予定よりも対象を広げて調査を行なっているためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通り、引き続き、ドイツ法における管理職労働者の法的取扱いについて、調査・分析を行なう。また、並行して、日本法における管理職労働者の取扱いについても調査・分析を行なっていく予定である。これらを通じて、管理職労働者に関する法的規律のあり方を示したい。
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