研究課題/領域番号 |
18H05656
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
中村 真利子 首都大学東京, 法学政治学研究科, 助教 (90826132)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 取調べの録音・録画 / 取調べ映像 / 証拠能力 / 真正性 |
研究実績の概要 |
本研究は、2016年公布の「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」によって、2019年6月に導入される身柄拘束中の被疑者に対する「取調べの録音・録画制度」の下で作成される映像について、その利用範囲の拡大可能性を検証することを目的とする。 そのために、まず、アメリカ法との比較法的考察により、電磁的記録である取調べ映像が、改ざんなどのない真正に作成されたものであることを保証する方策を明らかにするべく、電磁的記録の真正性の保証について既に議論がなされているアメリカ法との比較法的考察を行った。アメリカ合衆国では、電磁的記録の潜在的な危険性を意識した議論がなされており、このようなアメリカ合衆国の議論を参照することは、電磁的記録の真正性の保証について議論の乏しいわが国において有益な示唆を与えるものである。 この分析により、電磁的記録である取調べ映像が、改ざんなどのない真正に作成されたものであることを保証する方策を模索し、わが国への受容可能性を探っているところである。分析にあたっては、図書を購入し、あるいは図書館及びオンラインデータベースを用いて資料収集を行い、適宜、証拠法に関する最新の知見を得るために、関連する国内外の学会又は研究会へ参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
取調べ映像の真正性を保証する方策に関する研究として、電磁的記録の真正性の保証について既に議論がなされているアメリカ法との比較法的考察を行った。特に、図書を購入し、あるいは図書館及びオンラインデータベースを用いて、電磁的記録について、どのような要件の下で証拠能力が認められるべきであると考えられているか、アメリカ合衆国の議論状況を把握した。また、アメリカ犯罪学会や、電磁的記録が証拠となることの多いサイバー犯罪に関する国内の学会又は研究会に参加し、証拠法に関する最新の知見を得た。 今後、これらの研究成果をもとに、電磁的記録である取調べ映像が、改ざんなどのない真正に作成されたものであることを保証する方策を模索し、わが国への受容可能性を探る論文を執筆する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、取調べ映像の真正性を保証する方策について研究を進める。 その成果を前提として、早くから「取調べの録音・録画制度」が導入されているオーストラリアの運用状況について、録音・録画の方法や取調べ映像の編集が、裁判官や裁判員に与える影響や、実際に取調べ映像を利用する法曹三者の間における対応や懸念もふまえながら、聞き取り調査や資料収集を実施する。この分析により、わが国でも同様に取調べ映像を利用しようとする場合に生じ得る問題や、その解決策について示唆を得ることができると考える。 これらの分析にあたっては、図書を購入し、あるいは図書館及びオンラインデータベースを用いて資料収集を行い、適宜、証拠法に関する最新の知見を得るために、関連する国内外の学会又は研究会へ参加する予定である。その成果は中央大学の紀要に寄稿する。
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