研究課題/領域番号 |
18H05658
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小島 庸輔 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (40822276)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 敷金 / アメリカ法 / 改正統一住宅用賃貸借法 / 統一商事法典第9編 / 担保物権法 |
研究実績の概要 |
2018年度は,アメリカ法における敷金法制の始まりから現在に至るまでの展開の分析を中心に行った。それは,主として判例,学説,制定法の分析によってきたが,特に,2019年3月に実施したニューヨーク州出張では,New York State Libraryにおいて日本国内で入手困難な州制定法の立法関係資料を収集するなど,多くの進捗があった。 現在までに,敷金の法律構成について,おおまかに,(1)債務構成を採用する裁判例,(2)信託構成,質権構成の登場による裁判例の混乱,(3)各州の立法による修正,(4)最新の統一法による担保権構成の提案という展開があること,敷金の返還手続等について,全米で賃借人保護を目的として,立法が精緻化する展開があることを明らかにすることができた。そして,それら2つの展開が両輪となることで,最新の統一法に結実したような,賃貸人と賃借人との利益調整が実現された敷金法制が可能となるとの評価を加えている。 また,これらの研究成果の一部を「アメリカ法における敷金法制の展開(2)」早稲田大学大学院法研論集169号95頁以下として,公表することができた。その他,早稲田大学法学研究科主催の博士学生国際交流イベント(PhD Student Academic Forum 2018)にて報告の機会を得て,一連の研究の概要を発表したが,その際には,日米以外の第三国であるベルギーの学生より同国の敷金法制を踏まえた示唆を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は,アメリカ法上の研究に注力しており,同法における敷金法制に関する詳細な分析を行ってきた。すでに,研究成果の一部ではあるが公表も実現しており,予定通りに2019年度内の研究完了が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,本研究課題の最終年度であり,日本法への具体的な示唆を得ることを目的としている。その際には,とりわけ,2020年4月に施行を控えた改正民法に関する,近時の資料の収集・分析に注力する。 また,引き続き,「アメリカ法における敷金法制の展開(3)(4・完)」として,研究成果を公表することを予定している。
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