研究課題
研究活動スタート支援
本研究では,ニューヨーク州法の展開,その他の州制定法の状況,3つの統一法の試みを対象に分析を行ってきた。アメリカ法の敷金法制の展開,なかでも,2015年の改正統一住宅用賃貸借法の敷金規定に着目すると,敷金を担保権によって構成すること,及び,返還手続等を詳細に規定することにより,賃貸人と賃借人との利益調整が試みられていることが明らかにされた。本研究は,そうしたアメリカ法を参考に,日本法の敷金法制の在り方を提示している。
民法
日本法の敷金は,その法律構成において,賃借人が賃貸人に対して貸付を行っている実態にあり,また,返還手続等において,当事者の合意に委ねたものとなっている。これは,アメリカ法の最初期の状況に対置される。アメリカ法の展開からは,そうした日本法の状況が賃貸人と賃借人との間で不公平な状況を生じていることが示唆される。本研究は,敷金を金銭に対する担保権として法律構成をすることにより,そうした課題を解決することを試みている。