研究課題/領域番号 |
18H05660
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
阿部 理香 九州国際大学, 法学部, 助教 (20829460)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 労働法 / 労働安全衛生 / 精神疾患・障害 / 安全配慮義務 / 従業員代表制度 / フランス |
研究実績の概要 |
本研究は、作業関連ストレスに起因する精神疾患・障害を抱える労働者に対する補償と予防について両者の連関を整理することを目的としている。具体的には、労働者自身が健康悪化を予防するアクターとなり、自ら関与できる法理論の構築を目指すとともに、労働者と使用者の個別的な権利義務関係のみならず、職場の労働安全衛生の観点から集団的に労働者の健康確保を実現する法制度の検討を試みる。 2018年度に行った主な研究実績は以下のとおりである。第1に、労働者が自身の健康を維持するために主体的かつ予防的に関与できる法制度の在り方を模索した。具体的には、フランスの文献および判例・裁判例を中心に分析を行い、成果の一部を研究会で報告した。第2に、労働者の健康確保を集団的な視点から検討するために、フランス従業員代表制度に関する近似の法改正の内容と方向性について情報収集を行った。第3に、わが国において労働者の健康・安全を集団的に保護する法システムの1つであり、労働安全衛生法の制定以降、一定の機能を果たしている産業医制度について内容および課題を検討した。2018年6月に成立した「働き方改革推進整備法」は、「病気の治療と仕事の両立」を目指した「働き方改革実行計画」を具体化する内容となっており、産業医の権限を強化するとともに、衛生委員会等との連携強化が図られている。本研究の主要テーマであるフランス法における議論との関連性が強いものであり、これについては論文を執筆し公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の1年目は、フランスの状況を把握し、論文を執筆・公表することまでを予定していたが、やや遅延している。2018年4月に現在の所属大学に着任したが、所属大学での業務に思いのほか時間を要し、その結果、研究時間を十分に確保することができなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、遅延しているフランス法の研究をさらに深めるとともに、日本法との比較法的視点を踏まえた検討に努めたい。また、2019年度は、本研究の最終年度であるため、研究成果を取り纏めたうえ、論文の公表まで行いたいと考えている。
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