本研究では、近代日本の翼賛体制の下(1940-1945)、「下情上通」の新しい回路の常会・協力会議がどのように整備され、運用されたかを地方・中央に亘って考察し、国民の意見・希望が各統治勢力によって対応され、政治に反映された状況を分析し、政治と民意の関係に焦点を合わせ、翼賛体制の性質を検討する。 今年度では、これまでの研究の続きとして常会・協力会議の整備及び中央協力会議の運用を掘り下げ、また本研究の成果全体をまとめた。常会・協力会議の整備について、1930年代に遡り、常会の形成、新しい民意調達制度の模索、協力会議の設置を考察し、成果を2020年度日本政治学会大会で発表した。中央協力会議の運用について、各回会議の構成・運営、議案の提出と処理を考察し、成果を『年報政治学』に寄稿した。本研究の成果全体のまとめとして、「研究成果報告書」を作成した。 今年度の研究の進行も新型コロナウイルスの流行に影響されていたが、基本的に順調であった。また今年度の研究を以て、本研究は計画通りに完成された。
|