本研究は、高度経済成長によって「経済大国」となった日本が、1970年代以降、その経済力を背景として国際政治問題にどう関与したのかを明らかにすることを目的とした。そのために日米英の史料を用いてG7サミットでの航空機ハイジャック問題をめぐる議論を検討し、日本が首脳たる福田赳夫首相の発意によって声明発出に貢献したこと、日本政府としては法的に問題があるとして声明の実施に消極的であったがサミットでの圧力を受けて方針を転換したこと、その後1981年に対アフガニスタン制裁という形で声明の実施が現実のものとなった時には一転して声明の実施とハイジャック問題でのG7の協調維持に尽力したことの3点を明らかにできた。
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