アフリカ開発会議(TICAD)が1993年に開始された経緯を明らかにすることに注力した。1980年代末から90年代初頭にかけてTICADの立ち上げに関わった9人の元外交官にインタビューし、外交史料館での資料収集、情報公開制度を利用した機密文書の開示も実施した。 その結果、TICADが1990年に日本の国連代表部で発案され、同年のアフリカ大使会議で初めて構想が外務省内で共有された事実が明らかになった。また、TICADの当初の目的は、国連におけるアフリカ票の集票という「選挙対策」であったが、外務省内での議論を通じて、日本が世界の開発問題を主導するための具体策へと洗練されていった経緯が判明した。
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