本研究では、主に現地でのインタビュー調査と資料収集を通して、インドネシアとマレーシアで1990年代末以降に盛んになった政治・社会運動に参加した「一般」市民(運動の組織者や活動家ではない人々)のデモ参加理由、デモでの行動、治安部隊に対する見方等を分析した。 現地調査で得られた資料・データから、過去長らく権威主義・半権威主義体制下にあった両国の国民(特に中産階級層)がそれぞれ国家権力をどのように捉えているのか、その核となる要素を抽出した。また、国民の抱く権力概念には国家間で共通点と相違点があること、相違点を生み出す要因としてそれぞれの国家の歴史(近代・現代史)が重要であることを明らかにした。
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