研究課題/領域番号 |
19K20876
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
谷口 友季子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター動向分析研究グループ, 研究員 (10826077)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 権威主義体制 / 選挙 / 抗議行動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、権威主義体制下の市民の政治参加、すなわち選挙という政治制度上の政治参加と、制度外の手段である大衆運動が権威主義体制の存続や崩壊に与える影響を明らかにすることである。既存研究では独裁者が選挙を体制維持にどう活用しているのかに関心が集まってきたため、反体制派の行動選択に与える影響は検討が不十分である。体制側に有利に設計、実施される選挙では、選挙を通じた体制転覆は難しい一方、反体制的な運動が激化すると体制による抑圧の可能性がある。このような制度外/制度内の政治参加手段の選択に着目し、2つの政治参加手段が権威主義体制の安定性、崩壊のパターンに与える影響について理論を構築し、多国間を対象にした計量分析とマレーシアの事例分析を行うという計画で研究を遂行してきた。 今年度は成果の総括を中心に取り組んできた。(1)事例分析については、マレーシアの市民社会における大衆運動と野党の政党連合結成がどのような歴史的変遷を経てきたのか、そして選挙という政治制度にどのような影響を受けてきたのかについて論文にまとめ、英文査読誌に投稿した。その後、現在修正再投稿のため改稿を行っている。(2)権威主義体制一般を対象とする計量分析については、選挙経験の蓄積が野党連合の形成と体制移行に与える影響に関して分析を行い、2020年6月の日本比較政治学会年次大会で発表した。そこでのフィードバックを踏まえ、現在改稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いずれも成果の公表を進める段階にある
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今後の研究の推進方策 |
事例分析、計量分析の両パートについてそれぞれ査読誌への投稿を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、現地調査や対面での学会発表への参加が実現しなかったため。
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