研究期間を通じて以下の3つの研究に取り組んだ。 ①レヴィ過程を高頻度に観測する場合におけるレヴィ密度のノンパラメトリック推定②レヴィ過程の拡張であるレヴィ駆動型オルンシュタイン・ウーレンベック過程を離散観測する場合における、レヴィ測度のノンパラメトリック推定③空間(2次元実数平面)上で定義された定常空間過程を非等間隔で離散観測する場合にける、空間回帰モデルの平均関数、分散関数のノンパラメトリックな推定量の漸近的性質の導出。 特に最終年度は研究③に取り組み、その成果は論文として査読付き国際学術誌に掲載された。また研究①、②についもそれぞれ国際的に権威のある学術誌に掲載済みである。研究①、②については特にファイナンス・損害保険において重要な統計モデルについて先行研究では不十分であったモデルの特徴量の推測に関する理論的結果を改善し、その特徴量(レヴィ密度・測度)の信頼バンドの構成法を開発することに成功した。このことは金融・保険分野にとどまらず、本研究で扱ったモデルが工学や物理学の分野においても重要な統計モデルであることから、今後様々な分野での応用が期待される。研究③の内容は今後の発展が期待される。空間的な従属構造を持つデータは数学的にも扱いが難しいため理論的な結果があまり知られていない。研究③で得られた結果も先行研究の結果を拡張したものであるが、現実への応用する場合一部制約的な仮定もあるため、今後は本研究の枠組みをより一般な設定まで拡張し、時間方向の従属性も考慮した時空間データも扱える統計手法の開発を予定している。
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