研究課題/領域番号 |
18H05684
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
竹内 亮 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 助教 (90823063)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | バイオガス / コミュニティ再生可能エネルギー |
研究実績の概要 |
2019年度は、2年間の研究のとりまとめとしてバイオガスの発生量と実験データの収集を終え、バイオガス装置が地域住民の生活と地域環境にどのような影響を与えたのかを、インタビュー調査によって明らかにする予定であった。また最終成果として論文化と、現地でのWSを予定していた。 本研究の目的は、ベトナムで普及している家庭用バイオガス装置の発展方法としてコミュニティでシェアするCREバイオガス装置の有用性を検討することであった。具体的には、CREバイオガス装置を実際にベトナムの農村に敷設し環境面、経済面、社会面の評価を行う。2018年度には装置の敷設を終えている。 環境面の評価としてガスメーター等の装置を用いて、昨年度敷設したCREバイオガス装置からの排水における化学物質の量、大気中に放出される余剰なバイオガス量を計測することができた。 それに基づき、経済面の評価である普及に向けた事業採算性の評価を行うことを達成できた。結果として、利用する世帯が5世帯以上であれば、環境面への悪影響である消化しきれないし尿の流出、大気中へのメタン放出量をバイオガス消費量比で従来の家庭用バイオガス装置に比べて80%以上削減可能なことがわかった。また、経済的な採算性についても、初期費用が高いもののライフサイクル全体で見たときには、従来型の家庭用バイオガス装置に比べて採算性が高いことがわかった。
一方で社会的な影響評価およびWSについては現地におけるアフリカ豚コレラの蔓延、新型コロナウイルスによる活動制限により完了できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、2年間の研究のとりまとめとしてバイオガスの発生量と実験データの収集を終え、バイオガス装置が地域住民の生活面地域環境に与えた影響を、インタビュー調査によって明らかにする予定であった。また最終成果として論文化と、現地でのWSを予定していた。 しかしながら、2019年春から現地でアフリカ豚コレラが発生したために現地サイトの実験が困難となった。そのため、論文としてのとりまとめに向けた社会的側面に関するインタビューが実施できなかった。論文のまとめ方の方向性および投稿先を、再生エネルギー寄りの雑誌に修正することで対応している。 また、2020年度1月より新型コロナの影響でベトナムへの渡航が制限されたため、現地におけるアウトリーチングのためのWSの開催が困難となった。ワークショップのための予算の執行を今後の装置メンテナンスおよび、先述の再エネ側面に寄せて論文としてまとめるためより高精度なデータを収集するためのガスメーターの購入費にあてた。 現在、論文執筆を協力者と進めており、2020年度5月には投稿する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の本研究の展開としては、これまでのデータの論文化を行うことが一番の目標である。 また、本事業の目的において達成できなかった、社会面への影響評価、および現地におけるワークショップを予算を工面することで実現したい。 また、本研究では、目的であったCREバイオガス装置が十分に稼働し、採算性があることが分かったため協力者とともにその社会的実装に向けた道筋を検討する。
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